
「北海道大学 和歌山研究林 創立100周年記念 南紀熊野 神秘の森と里の暮らし ~北海道大学 和歌山研究林 探索ツアー~」と題して、普段はご案内していない一般の方も参加できるガイドツアーを和歌山研究林にて5月17日(土)、5月18日(日)に開催しました。
当日、17日は大雨のため研究林へは行かない雨の日プログラムに変更して8名のご参加、18日は14名ご参加いただき通常のプログラムを実施しました。
今回のツアーは、和歌山研究林創立100周年を記念して企画。本研究林の所在地である和歌山県古座川町平井集落の歴史や生活の様子、北大とのつながり、モノレールでの天然林散策など、自然科学に関することのみならず、過去から現在、里山から奥山まで幅広い内容を案内させていただきました。


18日の様子をご紹介します。
(写真は一部17日も含みます)
平井集落の散策からスタートです。
特産品のユズの畑、棚田、お寺、築157年の民家など山間地域の美しい風景をご案内しました。また、集落内で行っている北大生の実習(ボランティア活動)についても紹介しました。
古座川町平井は、100年前に和歌山研究林ができる以前は林業で栄えた集落でした。当時の人々はモミやツガなどを山から切り出し川沿いに設置された製材所で板にして、人力のトロッコを使い集落の中心まで運んでいました。そして、その板を筏に組み川の水流で河口まで運んでいた歴史があります。


今回は、そのトロッコ軌道が通っていた町道を歩いて研究林へ向かいました。
昨年から発生している土砂崩れの影響で国道371号線が一部通行止めになっており、研究林の森への車でのアクセスが困難な状況のためです。
研究林職員がガイドしながら片道1.8㎞の道を奥へ奥へと歩いていきます。
町道に並行して集落の田んぼへ水を供給する水路があります。水路にはアカハライモリが生息しており、ちょうど繁殖の季節ということもありオスがメスに求愛する姿も観察できました。
1.8㎞と聞くと歩くには長いな・・と感じるかもしれませんが、道中の見どころスポットを巡りながらのトレッキングを皆さん楽しまれていた様子でした。





研究林に到着した後は、ログハウス「親林館」でお昼休憩し、午後からは大森山保存林をモノレールで巡りました。
大森山保存林は、北大が入手した100年前時点で大規模な伐採が行われていない天然林が残っており、その後は保存林として見守ってきた森です。約800mのモノレール軌道があり、自力で登らなくても急斜面を移動することができます。
ところどころ下車し、葉っぱの特徴やにおいから樹木を見分ける方法や 源流域に生息するオオダイガハラサンショウウオを紹介しました。
ラストは一番の急勾配を上った先にあるコウヤマキの群生地です。和歌山県ではなじみ深いコウヤマキですが、自生しているものとなるとそう多くはありません。
ここでは、眼を閉じてじっくりと自然を感じる体験をしていただきました。
モノレールで下山後は来た道を戻り、途中、平井川に生息しているオオサンショウウオについて解説しました。
最後に和歌山研究林特製のお土産を選んでもらいフィニッシュです。職員全員でお見送りし解散となりました。
ガイドツアー終了後に回答いただいたアンケートでは、「苔の緑や木々の間から降ってくる木漏れ日や鳥の鳴き声に、心身ともに生き返っていくようでした。」「見て学ぶことの重要さが分かって本当によかったです。」といった感想をいただきました。
皆様のご意見は今後の運営に活かしてまいります。
北大関西同窓会の方を始め多くの方々にご参加いただき、ありがとうございました。
17日は悪天候により森の中をご案内できなかったことは大変残念でした。今回のような探索ツアーにつきまして、今後団体での受け入れや改めてツアー開催について検討しております。
今後ともよろしくお願いいたします。
(和歌山研究林 前田)