技術開発課題

2017年4月現在

3-001 希少種テシオコザクラ・オゼソウの分布調査~保護管理技術の確立に向けて~
課題責任者伊藤欣也
実施期間2015/4/1~2018/3/31
実施研究林天塩研究林
概要北海道北部の蛇紋岩地帯には固有性が高く希少な植物種が多いが、なかでも渓流域の崩壊地に生えるテシオコザクラとオゼソウはその代表種として知られる。しかし現在のところこの2種について解明されている生態情報は「形態」や「繁殖様式」に関する専門性の高い学術研究に限られ、「分布」や「生息環境」の詳細はほとんどわかっていない。そこで本課題では、おもに天塩研究林の蛇紋岩地帯においてオゼソウ・テシオコザクラの自生地を特定し、それらの分布パターンについても理解を深め、将来の管理手法の確立のための基礎的知見を得る。


3-002 刈り払い機掻き起こしとササ地下茎切断効果の解明
課題責任者坂井 励
実施期間:2014/6/23~2017/10/31
実施研究林雨龍研究林
概要天然更新を用いて低コストで森林を造成する手法として、阻害要因であるササ類を重機で剥ぎ取る「掻き起こし」の有効性が確かめられてきた。しかしながら重機走行が困難な急傾斜地、土壌保全が求められる水源地など、重機の使用が制限される環境での天然更新技術は未だ確立されていない。そこで本課題では刈り払い機を用いてA0層を攪乱し天然更新を促す「刈り払い機掻き起こし」の実行を試みる。さらに施工地周囲に広がるササラメットから施工面への栄養供給を遮断し、施工面のササ地上部の回復を抑制させることを目的として、掻き起こし施工面を取り囲むようにササ地下茎をルートカッターで切断する作業を取り入れる。ササ地下茎切断強度を変えた処理区を設定し、それぞれのササ回復速度と天然更新を調査することで、ササの地下茎切断処理が天然更新稚樹とササの競合をどの程度緩和するのかを定量的に評価する。また、刈り払い機掻き起こし作業及び地下茎切断作業に要するコストを計測することにより、事業化の可能性について検討する。

3-003 積雪期における樹冠下掻き起こし(根掘り掻き起こし)の試みと効果の解明
課題責任者坂井 励
実施期間:2015/1/20~2018/10/31
実施研究林雨龍研究林
概要林冠開放度の低い場所での掻き起こしの実行は多様な樹種の更新を促すことから、択伐と樹冠下掻き起こしの組み合わせは、天然林の構造の維持と資源利用を両立させる手法の一つとして期待される。しかしその実行には課題がある。積雪期は雪を用いて重機の走行経路を安価に作設することができるが、掻き起こしを行う無積雪期に重機が林内隅々に散らばる施工地(択伐跡地)にアプローチすることは技術的、コスト的に困難であるとともに、必要以上の攪乱を森林に与えることになる。一方、積雪期に立木を伐採する際、より低い位置で伐採する(材の生産効率を高める)ためにバックホウ等の重機を用いて立木の周囲を除雪する「根掘り」という作業が一般的に行われる。この根掘り作業の際に、積雪下林床の掻き起こしを同時に行うことができれば、伐採作業と同時に更新作業を完了することができ、上述の課題を解決できる可能性がある。 そこで、本課題ではこの「根掘り掻き起こし」を天然林内において実行し、作業コストの計測と天然更新を調査する。その結果を無施工区及び無積雪期掻き起こし処理区と比較することにより、根掘り掻き起こしの効果を定量的に評価し、事業化の可能性について検討する。

3-004 希少猛禽類繁殖モニタリング
課題責任者奥田篤志

実施期間:2015/4/1~2018/3/31
実施研究林中川研究林、北管理部
概要中川研究林では、1997年からオジロワシをはじめとする希少猛禽類の繁殖状況のモニタリングを継続しており、中川研究林を特徴づける課題の一つになっている。調査は中川研究林内の5箇所あるオジロワシの営巣地の繁殖状況の長期モニタリングである。また、繁殖に成功した巣において巣立ち後巣内の餌残滓の回収をおこない、餌内容を調べる。この課題は、希少生物の保全のみならず、ロープアクセス技術の習得や応用など他の調査に応用出る技術の開発や継承も目的とする。

3-005 北方林の掻き起し・表土戻し施業において表土の堆積期間の違いが植生回復に及ぼす影響
課題責任者間宮 渉
実施期間:2016/4/1~2019/3/31
実施研究林雨龍研究林
概要樹木の天然更新を期待する天然林施業は、植栽や間伐などを行う人工林施業に比べて労力やコストを低く抑えることができる。しかし、目的樹種の確実な天然更新をコントロールすることは一般に難しく、持続可能な森林管理・経営を実現するうえでの大きな課題となっている。本課題では北海道の天然林施業で高い更新効果が期待できる「掻き起し施業」について、表土を堆積する期間の違いに応じた樹木および草本の更新動態を解明することで、より効果的な施業方法を提案する。

3-006 苗木生産技術の改良と体系化
課題責任者奥田篤志
実施期間:2017/4/1~2019/3/31
実施研究林:天塩、中川、雨龍研究林、北管理部
概要造林面積の縮小に伴い育種試験地で生産する造林用苗木の数量は減少しているが、苗木の生産は従来のままである。施設の老朽化と維持管理コストを考慮し、苗木生産方法の改良を検討する。また、多様な樹種の苗木育成方および造林法についてこれまで各林で実施してきた広葉樹造林の方法(ヤチダモを中心に)等を集約して、苗木生産のマニュアルを作成する