北管理部:名寄教育研究棟の新棟が完成しました

 

 名寄教育研究棟(森林圏北管理部)は、道北の名寄市に所在し、3つの研究林(天塩・中川・雨龍)を統括する施設です。建物には、環境科学院の大学院生が常駐し、また高度な実験設備も備えていることから、フィールド調査・分析を行う内外の研究者に多く利用していただいています。今回、改築の対象となったのは、講義室、宿泊室、分析・保管室などで、これまで複数の建物に分散していたスペースを集約し、鉄筋コンクリート2階建ての建物に効率的に配置しました。また、新たな機能として、各研究林をまたいだ共同研究、地域連携を強化するためのコワーキングスペースを設置しました。

 

コワーキングスペースの床材と、そこに置いた丸テーブル・スツールは、いずれも雨龍研究林産のシラカンバ材で製作されました。シラカンバは、従来、林業用途では評価が低くパルプやチップの利用に限定されていたのですが、近年、利用が着実に拡大しています。その要因のひとつとして、研究林の技術スタッフが長年培ってきた育成技術によって、広葉樹の中でもっとも持続可能に利用できる資源であると広く知られたことが挙げられます。今回の利用は、教育・研究面で連携している一般社団法人「白樺プロジェクト」の協力で実現しました。シラカンバの材の特徴は、クリーム色がかった白色の木肌。新棟に明るい色合いを提供するとともに、そのまま教材として活用できる空間となりました。

 2階の宿泊施設は、今後の利用形態をふまえ従来形式の大部屋ではなく、2段ベッドを備えた2人部屋を7室設置しました。このベッドも、研究林産のシラカンバを合板に加工した材料で製作されたものです。また、シャワールームとトイレは、男女を分けない個室としオールジェンダー対応としました。自炊設備を完備した食堂は10人程度の利用が可能となっています。現在はコロナ禍のため利用の一部に制限を設けていますが、4月から宿泊利用を開始したところです。今後は、講義・研修室を活用したセミナーやサイエンスカフェの開催も検討しています。各研究林が持つ既存施設の機能と合わせて運用し、多くのフィールド実習をはじめとする教育研究活動に対応していきたいと考えています。

新棟、右側の既存庁舎と接続しています
新棟、右側の既存庁舎と接続しています
講義・研修室
講義・研修室
コワーキングスペース.研究林産のシラカンバ材を使ったテーブル・スツール・フローリング
コワーキングスペース.研究林産のシラカンバ材を使ったテーブル・スツール・フローリング
宿泊室.ベットの素材も研究林産のシラカンバ材
宿泊室.ベットの素材も研究林産のシラカンバ材
食堂
食堂
雨龍研究林.シラカンバ伐採・造材現場での学生実習の様子
雨龍研究林.シラカンバ伐採・造材現場での学生実習の様子