雨龍研究林
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技術スタッフ
自然・特色
- 面積: 約249km2 (24,913ha)
- 年平均気温: 3℃
- 年間降水量: 1,400mm
雨龍研究林は、1901(明治34)年、内務省から札幌農学校の学校維持資金(財産林)として約3万haの所管換えを受け、「第一基本林」として北大で最初に創設された研究林です。その後、現在の朱鞠内湖にあたる土地を割譲するなどして、現在の管理面積は約2.4万haとなっています。
年平均気温は約3℃ですが、夏期はたびたび30℃を超える他(最高気温は1989年7月の34.1℃)、冬期は-30℃を下回り(最低気温は1978年2月の-41.2℃:わが国の観測史上最低)、寒暖の差が非常にはげしい気象条件です。また降水量は年平均約1,400㎜で、その大部分は9月から3月に集中し、10月下旬から5月初旬まで降雪があります。最大積雪深は多い年では平野部でも2m75㎝(1970年3月)にも達し、道内でも有数の多雪寒冷地になっています。
研究林の林相は、標高や地質、台風などの攪乱履歴、施業の経過によって異なりますが、概して、朱鞠内湖を囲む北部地域には、北海道の代表的な森林タイプである針広混交林が分布しています。一方南部地域は、蛇紋岩地帯に成立するアカエゾマツの純林が比較的大きな面積を占めています。
研究・教育
雨龍研究林では、自然環境と社会的な条件を考慮して、「朱鞠内湖とその流域を中心とした環境変化と生物多様性保全の長期総合研究」という大テーマのもと、長期・大規模な野外試験やモニタリングを遂行し、森林生態系の諸機能や生物多様性の維持機構を明らかにするとともに、それらを考慮した北方森林景観の管理方法を検討しています。また、生態系の機能と保全、地域社会との関係を総合的に研究しうるフィールドであることを最大限に活用して、専門分野を横断した多彩な共同研究を進めています。 教育活動では、学生実習として、本学農学部や大学院環境科学院をはじめ、全学の新入生を対照とした一般教育演習、他学部・他大学による各種の実習に定期的に利用されています。また、小学生を対象とした体験学習(森のたんけん隊)や地域の学校の総合学習や森林・林業関係機関の技術研修のフィールドにもなっています。
【主要な研究テーマ】
- 長期観察林(32箇所)における樹木群集の動態観測
- 天然林における種子生産量の長期観測
- 野生生物群集(野ネズミ、エゾシカ等)の長期観測
- 植物相(Flora),動物相(Fauna)の記載
- 森林流域を対象とした水循環・物質循環特性の観測
- 気象・酸性降下物の長期観測
- 特徴的な生態系(湿地性アカエゾマツ林や山地湿原)の形成・維持機構の解明
- 地域の景観管理、土地利用と保全に関する研究
- 天然生林の復元技術の開発
- 針広混交林の管理技術の確立
研究・教育フィールドの管理
長期的に針広混交林の復元をめざした、森林の造成を行なっています。年間約5haの更新作業地では、ササ類を重機で取り除いた(掻き起こし)後、アカエゾマツを中心にトドマツ、エゾマツなどの植栽、ミズナラの播種、または天然下種(自然の種子落下に任せる施業)によって森林の更新(世代交代)を図っています。2006年以前までは、ヤチダモ、ハリギリの植栽も行いました。植栽本数は基本的に1000本/ha以下の疎植とし、天然更新した広葉樹を混交させています。従来からのさまざまな試行錯誤の結果、現在では、ササ地に森林を復元することが可能になり、研究林の大きな成果となっています。このような更新地での継続調査を通して、森林の諸機能の保全・発揮につながる管理方法を模索しています。また、保全・修復に重点を置いたフィールド整備を進める中で、森林の伐採量は、従来よりも大幅に減らしています。ただし、持続可能な生物生産は世界的に大きな課題であり、教育目的、あるいは研究林でしかなしえない大規模な野外試験を遂行する場合には積極的に実施しています。
研究林内の林道網は12.2m/haに達しています。林道は、森林の管理や研究課題の実行上必要不可欠な存在であり、その効率的な維持と技術開発に取り組んでいます。
名寄林木育種試験地
当試験地は名寄市郊外にあり、森林の遺伝を扱う林木育種および優良苗木の育成技術を研究する機関として、1965(昭和40)年に発足しました。樹木遺伝子資源の収集とその特性評価をもとに、採種方法を含めた育苗技術の確立に努めています。試験地は暗渠排水、客土等の土地改良が行なわれ、さらに、トラクターなどの大型機械を配備して、全面高張寒冷紗設備、種子の低温保存室、温室、灌水施設などが整備されています。敷地約19haのうち、苗木育成用の苗床面積は7.9haです。
現在、天塩・中川・雨龍研究林で、とくに形質が優良なトドマツおよびアカエゾマツを合計80本ほど選び、保存しています(精英樹)。そして、これらの形質が遺伝的なものであるかどうかを検討する試験(次代検定)を行なってきました。苗木生産のために、精英樹を接木クローンで増殖した、トドマツ・アカエゾマツの採種園を場内に造成しています。また、収集した種子や苗木の産地を記録して、後の遺伝子資源の探索に役立てられるようになっています。
遺伝的特性に関するデータの収集は、雨龍研究林内のフィールドでも行なっています。北海道を中心とする日本各地、あるいは中国東北部からナラ類を収集し、母樹別に成長や開葉・紅葉時期などを比較検討しています(産地系統試験)。また、アカエゾマツについても、土壌母材の違いに着眼した産地系統試験を行っています。これらは、遺伝子資源として重要な天然林を保全するための基礎的なデータになっています。
所在地・問い合わせ先・交通アクセス
雨龍研究林
- 庁舎の所在地: 〒074-0741 北海道雨竜郡幌加内町字母子里
- TEL: 0165-38-2125 / FAX: 0165-38-2410
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メールアドレス: uryu(at)fsc.hokudai.ac.jp
札幌市内からの交通アクセス:
- 鉄道利用: JR宗谷本線 名寄駅下車 → JRバス幌加内行き 母子里バス停下車 徒歩1分
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乗用車利用: 道央自動車道 士別剣淵IC下車後 国道40号線・士別市日向スキー場・雨竜発電所・国道275号線経由 約40km(約1時間)
名寄林木育種試験地
札幌市内からの交通アクセス:
- 鉄道利用: JR宗谷本線 名寄駅下車 タクシー約10分
- 乗用車利用: 道央自動車道 士別剣淵IC下車後 国道40号線を約25km北上 (約30分)
宿泊施設
- 定員: 46名
※ 実習・研究等を目的とされる方に限り利用が可能です。
※ 幌加内町母子里の雨龍研究林庁舎内にあります。
※ 食事の提供はしておりますが、人数や時期などによってはご希望に添えない場合もありますので予めご確認をお願い致します。
※ 宿泊施設の詳細は こちら をご覧ください。
ご利用・ご宿泊を検討される際は、まず一度お問い合わせください。